西洋的な走りの考えを顕著に表しているのが「ハイ・ニー」つまり膝を高く上げる「もも上げ」のことです。この原型はマック式スプリント・ドリルと言われるもので、1970年代、東京オリンピック後に来日したゲラルド・マックというポーランド人コーチが紹介し、一気に全国に広まりました。
その後再来日したマック氏は、ドリルに取り込む日本人の動きを見てその誤解を指摘しましたが、誤ったドリルの動きは、日本全国に広まっていきました。
<中略>
前傾した骨盤を持つ西洋人は、膝を高く上げようと意識しないと本当に膝が上がらないため、意識することで膝がちょうど良く上がり、足が前に出て、その足に重心を乗せることができます。
いっぽう後傾した骨盤を持つ日本人は、膝を上げろと言われると本当に高く上がってしまいます。そのため身体が反って重心が後ろに残ります。しかし、前進しなくてはならないため、足で地面をひっかくように蹴り、それを推進力にしたのです。この走り方では体力ばかり消耗してしまい、スピードはそれほど上がりません。
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