みらくる・らぼ

〔§座〕
「背筋を伸ばせ!」
  と言うけれど・・・
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躾(しつけ)に潜む、
  大きな危険
「背筋が曲がらない姿勢」
  を作る!
骨盤の天辺(腸骨陵)と
  前かど(上前腸骨棘)
右手は拳(陽/太陽)、
  左手は掌(陰/月)
ニー・アップ!
~「膝を持ち上げろ」
  という指導
骨盤が「立つ」
 骨盤が「丸くなる」
 ~背骨と太腿の角度
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「背筋を伸ばせ!」と言うけれど~文明のイタズラ 作成日:2014/09/20、最終改訂日:2014/09/30

§座-51:ニー・アップ! 「膝を持ち上げろ」という指導


有名な外国人の指導者(コーチャー)の指導方法に、
「ニー・アップ(knee up)」 というのが、あるようです。

ニー(knee)は「膝」なので、「ニー・アップ!」という言葉は、
  「おまえは、膝の使い方が甘い! もっともっと、膝を持ち上げろ!!!」
という意味(解釈)になるはずです。

社交ダンスでいう「ニーアップ」とは、単にそれだけの意味なのでしょうか?
他に、深い意味があるのでしょうか?
今回は、それを、考えていきます。


■ 太腿を持ち上げるのが、ニーアップ!? それって正しいの!?


  ダンステクニック革命/堀口史朗(著) 84ページ
第2章 足の感覚 3.腿の動き
    腿の動きとして、皆さんが大きく勘違いしている点があります。
前進でも後退でも、腿は「必ず一度上がってから動く」のですが、そのことにあまり関心がないのです。

 前進の場合、歩く動作で説明すると、左右どちらの足であっても、まず最初に腿が上がって、次に膝から下が繰り出されます。

後退も同様です。必ず一度腿が上がってから、後ろに出て行くのが自然な動きです。

イギリスのコーチャーはよくニーアップ(knee up)と言いますが、単に「膝を上げる」ことと受け取ってしまうと大事なことを見落としてしまいます。
「腿を上げる」結果として、膝が上がると言うことを忘れてはいけません。

<以下略>

何度もイギリスへの留学している「日本のファイナリスト」が、
  二本足の人間が歩く時、「腿(もも)は必ず、上がってから動くのだ!」
と言って、生徒に、ひたすら「腿を持ち上げろ!」という指導をしていたとしましょう。

これを信じる人は、ひたすら、「腿を持ち上げる練習」を繰り返します。

ところが、
「腿を持ち上げる練習をしても、ちっとも上手にならないらないぞ!」
「なんか変だぞ!」 「もしかしたら、先生の指導方法、どこか間違ってるでは?」
というような、疑問と不信感を感じる人もいるのではないかと思います。


疑問を持つのは、当然と言えば当然。
例えば、スキー・スケート・武道のすり足・送り足(社交ダンスの送り足とは異なる)では、両足を開いてボディを移動させる際、わざわざ、(動かす足の)太腿を持ち上げたりしません。 太腿を持ち上げるのは「NG」。

確かに、「太腿を持ち上げれば、足は動くし、ボディを動かすことも出来る」
だけど、「わざわざ、太腿を持ち上げなくても、足は動くし、ボディも動く」
だったら、無理に太腿を持ち上げなくてもいいじゃないか! ということです。


【椅-19】でいうなら、太腿の上に掌(てのひら)を乗せ、太腿を押し下げます。
(両手の中指と中指を向かい合わせにして、太腿を押し下げると、効果が出る)

そして、左足の足首を曲げてやれば、足(足の裏)は、前方に進んで行きます。
足首を曲げようとしても、曲がりません。足首は90度の角度をキープしています。

足首を曲げようとしても、足首は曲がらず、かわりに、膝が持ち上がろうとします。
つまり、「膝を持ち上げたければ、太腿を押し下げろ!」ということになります。


イギリスのコーチャーの言う「knee up/ニーアップ」という指導の意味が、

堀口氏のいうように
  ・前進でも後退でも、腿(もも)は必ず、上がってから動く
  ・「腿を上げる」結果として、膝が上がる
  ・膝を持ち上げて、支え足で地面を蹴っとばせば、ボディは進む

という意味なのか、それとも、逆に
  ・太腿が上がらないように、太腿を押し下げておいて、
  ・足首を曲げたり手首を曲げたりすることで、膝を持ち上がろうとする。
  ・持ち上がらない膝を、持ち上げようとすることで、ボディは進む。

という意味なのか。
どちらかによって、ボディの使い方は、まるっきり違って来ます。

もし、「腿を持ち上げる」のが正論ならば、外人コーチャーは「knee up」と言わずに、「thigh up(太腿を持ち上げろ)」と指導すればいいわけです。
では何故、「thigh up」ではなく、「knee up」なのか?

なにか、ありそうです。


■ 「座ったときの背筋の伸ばし方」が、「knee up」の解釈を変える

【椅-12】も【椅-17】も、「背筋を伸ばして、椅子に腰掛けている姿勢」です。
ここから、「膝を持ち上げてみろ!」と言われたら、どのような動きをするでしょうか?


【椅-12】も【椅-17】も、見かけ上は、どちらも同じです。
両腕を、机の上に置いていれば、外見上は、ほとんど見分けがつきません。

ところが、この姿勢からの、「膝を持ち上げる」時の、太腿の動き(アクション)は、まるっきり正反対。

【椅-12】における ニー・アップ!のアクションは、
  太腿(太腿)を持ち上げる→踵と土踏まずが持ち上がる→膝が持ち上がる

【椅-17】における ニー・アップ!のアクションは、
 太腿を押し下げる→踵で地面を踏む→土踏まずが持ち上がる→膝が持ち上がる

見事なまでに、「座り方」が違えば、「ニーアップ」のアクション(ボディの使い方)が、まったく違った動き・・・というより、まったく正反対の動きになってしまいます。


姿勢の正し方は、両方あるんだから、
  「両方を提示して、生徒に、正しいと思う方を選ばせる」
のがスマートな教え方のような気がしますが、日本の社交ダンスはそうじゃない。

すべてが「強引な決めつけ」であり、最初に結論ありき。反論なんて許されない!
日本の社交ダンスでは、そんな風潮が支配しています。
もしかしたら、子供の頃に受けた、問答無用・口答えが許されない、「躾(しつけ)」の概念が、強く影響しているのかもしれませんね。

話を続けましょう。

■ 後退の時は、太腿を持ち上げて、爪先(トォ)から後退!?



  ダンステクニック革命/堀口史朗(著) 85ページ
第2章 足の感覚 3.腿の動き
 
 では、椅子に腰掛けた状態で足を後ろに抜くにはどうしますか。
答えは、「一度腿を上げてから、膝から下を後ろに抜いていく」です。
これが自然な運動です。
下図(※上の図の右側3コマ)のように、椅子に座ったまま、前進、後退の動作を行うと腿の働きがよくわかるはずです。

<以下略>

太腿を持ち上げると、背骨(腰の骨)は、前方に突き出て、骨盤の後ろが持ち上がります。
それと同時に、太腿を持ち上げた足の踵(ヒール)が高く持ち上がり、爪先だけが、わずかに、地面に接地した状態になります。

そのまま、爪先(トォ)を、遠くに伸ばせば、足を大きく、後方に開くことができます。
説明図、および、説明文の通りです。

言い方を変えるなら、足を遠くへ伸びていく課程では、爪先(トォ)だけが地面に付いた状態で、爪先だけが進んで行くことになります。
もしも、後退の途中で、母趾球・小趾球(ボール)を地面に着けたとしたら、その時点で足の動きが止まってしまい、それ以上、後退できなくなってしまいます。


確かに、「一度(意識的に)腿を上げてから、膝から下を後ろに抜いていく」という方法は、「自然な動き」なのかもしれません。 でも、他の方法があります。

人間のカラダには「左右の違い」があるで、左腕・左足で説明します。

【椅-19R】の姿勢で説明します。腕の前腕には2本の骨があります。
1.左腕前腕の「小指側にある骨(尺骨)」を、押し下げます。
2.左腕の尺骨を押し下げると、左の太腿も、下に下がろうとします。
3.太腿を押し下げると、踵で地面を押しつけようとする。

・・・・はずなのですが、ここで足に、「想定外の動き」が起きます。

踵で地面を押しつけようとすると、足首が曲がろうとします。
足首を曲げようとしても、足首は曲がりません。
反対に、「土踏まず」が持ち上がり、土踏まずが、膝を押し上げます。
膝が上がると、踵が浮き上がります。

太腿を押し下げようとした結果、膝が持ち上がり、結果的に太腿も上がります。

さらに、太腿を、斜め後ろへ押し下げようとすると、どうなるでしょうか?
母趾球・小趾球(ボール)で、地面を擦りつけるようにして、足が後ろに下がっていきます。
母趾球・小趾球(ボール)が、どんどん、遠くへ下がっていき、最後に母趾球が浮き上がり、爪先だけが遠くへ伸びて行きます。



■ 「後退動作」における、太腿の動きの違いを比較する!

社交ダンスの後退として、スローフォックストロットの「ウィーブ」の例が書かれています。
おへそを右斜めに向けながら、OP(アウトサイド・パートナー)の位置を保って、左右の足を、交互に後退させる動きです。

  ダンステクニック革命/堀口史朗(著) 84〜85ページ
第2章 足の感覚 3.腿の動き
  <前略>

 例えば、フォックストロットのウイーブで後退するときなど、多くの人が膝を突っ張ったまま足を使おうと必死になっています。
立った状態だと、膝が伸びたままでも片方の足が通過してしまうのは事実ですが、立っている足の膝には余裕がなくなり、動きが小さくなってしまいます。

<中略>

 フォックストロットのウイーブの話に戻ると、床から爪先が離れない程度に腿を持ち上げる動作によって、柔らかく美しい足のラインが出来上がります。

 トーで立っている状態からでも、ほんの少し腿が上がることによってスムーズで美しい後退もできますし、前進もできるのです。

後退をするときに、トーではなくボールから着地する人が少なくありませんが、これも腿を持ち上げる動きが小さすぎるためです。
腿を持ち上げることによって足首が伸び、トーから着地できるようになります。

<以下略>

ウィーブの時に、膝をビンビンに突っ張ったまま、後退すると上手に踊ることが出来ない。
ウィーブを上手に踊るテクニックは、「ニーアップ」、つまり、膝を持ち上げること。
これは、正しい。

だけど、「膝を突っ張ったまま足を使おうと必死になっている」人は、多くない。
「膝を緩めたくても、緩めることができない」というが、多くのダンサーの悩みだと思われます。
繰り返しますが、「必死になってる」のは少数派!


ウィーブで、ニーアップ(knee)を持続させる方法は、2つあります。

一つは、堀口氏の言う「太腿を持ち上げると、膝が持ち上がる」という方法。
常に「太腿を持ち上げて足を動かす意識」を持っていれば、
常に膝は持ち上がった状態をキープできる。 そうすれば、膝は伸びきらない。

この場合、ボール着地はNGであり、トォ(爪先)を伸ばしていく必要がある。


もう一つの方法は、
 「太腿を押し下げて、足首を曲げようとすると、膝が持ち上がる」
という方法。
 一旦、この方法で、膝を持ち上げてしまえば、太腿を強く押し下げても、足首の角度は常に一定に保たれる。
トォではなく、ボールが地面に着いた状態で、足は遠くへ進んで行く。
最後に、ボール(母趾球)が浮き上がり、トォが遠ざかる。

どちらの方法でも、ニーアップ(膝を持ち上げた状態のキープ)が出来ます。
ニーアップが出来れば、どちらの方法でも「ウィーブ」を踊ることができます。
ニーアップさせ、出来れば、ウィーブは踊れます。


では、膝がビンビンに伸びきって、上手に踊れない人は、何が悪いのでしょうか?
実は、「ホールドの作り方」に原因があります。


日本の社交ダンスでは、初心者の頃から、【猫-22】のような、ホールドの作り方を、叩き込まれます。 それが、正しいホールドの作り方だと教えられます。

このホールドでは、少しでも足を動かすと、太腿が持ち上がります。
つまり、「太腿を持ち上げて、膝を持ち上げる」というのが、基本になっています。

一方、【猫-32】のようなホールドを作ると、ボディの動きに合わせて、太腿は後ろに押し下げられます。

普段の日常の動き、もしくは社交ダンス以外のダンスで、
 「太腿を後ろに押し下げて、ボディを動かす」
という習性のある人が、【猫-22】のようなホールドを叩き込まれると、どうなるか?

「太腿を持ち上げようとする動き」と「太腿を押し下げようとする動き」が干渉して、膝がビンビンに伸びてしまいます。

結果的に、
  「必死こいて、膝を伸ばそうとしているバカ。 運動音痴! ダンス音痴!」
とか、さんざんな言われ方をされてしまいます。

上手く踊れない人は、普段の「座り方」をチェックしてみましょう。


■ 「太腿を押し下げて、背筋を伸ばして座る人」が、社交ダンスを習うには


座った姿勢で開脚姿勢をとり、足を揃えた時は、太腿を押し下げた方が、背筋が伸びます。
この座り方に慣れている人は、太腿を持ち上げて踊ろうとすると、すぐに腰が痛くなります。
【猫-22】のような姿勢を基本とする動きは、根本的に「合わない」ということです。


このケースも同様です。
弓道に限らず、武道をされている方が、社交ダンスをやるときは、特に注意してください。
「太腿を持ち上げない」ことを基本としている人が、初心者の時点で【猫-22】から作った「日本の社交ダンスのホールド」を叩き込まれると、ほぼ確実に、腰にダメージを受けるか、それ以前に「上手に踊れない」と思います。

ほんとうに、先生(指導者)の言っていることが、正しいかどうかを、自己責任で判断下上で、「自分が、正しいと判断した先生」に習うようにすべきです。

《 「太腿を持ち上げるダンス」 》

世の中には、「ダンス」というのは、たくさんあります。

社交ダンス(スタンダード種目)は、ダンスの中の一つにすぎません。

では、数あるダンスの中で、「太腿を持ち上げながら踊る」ことを基本としているダンスは、いくつあるでしょうか?

「太腿を持ち上ながら踊るダンス」は、ダンスの中で、多数派でしょうか? それとも、少数派でしょうか?

調べてみると、面白いです。

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