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左重心と右重心 ~こんなに違うカラダの動き |
作成日:2011/08/11、最終改訂日:2011/08/11 |
§棒-05:「棒」を肩に担ぐ 〜飛脚の棒は右手?左手?
棒を使った実験を繰り返しているうちに、思い浮かべてしまうのが、江戸時代の「飛脚(ひきゃく)」と「駕籠(かご)」。
飛脚は、どちらの手に棒を持っていたのだろう?
駕籠は、どちらの肩に担ぐのだろう?
左手に棒を持った飛脚【棒-91)と、右手に棒を持った飛脚【棒-92)では、姿勢が違う!
この違いは、個人差なのか?
それとも、カラダの左と右の違いからくる、理論的な姿勢の違いなのか?
これは、なんとしても、実験しなければならない! やってみましょう!!
どうせ実験するならば、「両者の違いが、はっきり解る動き」で実験をやった方が良い。
それには、競技系社交ダンス(スタンダード種目)の「スタート」の動きを、飛脚に当てはめるのが、一番わかりやすい。
これは競技系社交ダンスのうち、「ワルツ」「スローフォックストット」という種目の一般的な「スタート(踊り始め)」の動きです。 男性の動きに注目してください。
【棒-01)両足を開いて立ちます。 カラダを左足の上に置きます。
【棒-02)左足の足の裏で、地面をこすりつけるように動かして、右足に揃えます。
【棒-03)左足が右足に揃えるか揃えないかのタイミングで、左足を前に出します。
この動き、簡単なようで、意外と難しいです。
この動きを、棒を持って、「飛脚モード」でやると、どうなるか???
違いがはっきり現れます。 やってみましょう!
●左手で棒を持ち、棒を左肩に置いた場合
【棒-11)から【棒-13)にかけて、左足を動かして、右足に寄せていきます。
両足が揃ったとき【棒-13)では、両足の踵が綺麗に揃い、両足の踵が地面に着いた姿勢になります。
ボディは少し右側に寄りますが、足へのウエイトは、左右均等に掛かります。
【棒-13)を横から見た図が【棒-23)です。
両足の踵が綺麗に揃っています。
そこから、左足を前に出していくのですが、その際、「後ろ足の踵は、常に地面を押さえ込む」姿勢を続けます。 ウエイト配分は、前足・後ろ足両方にウエイトが掛かります。
この動き、素足(この実験は素足です)でも、スリッパを履いても、(おそらく「足半」を履いても)、ヒール(2.5cm)のあるダンスシューズを履いても、ほとんど同じ動きになると思います。
後ろ足の踵が地面から離れていても、浮いている踵で地面を押さえながら、前足を出す感覚になるはずです。
●右手で棒を持ち、棒を左肩に置いた場合
右手に棒を持った場合はどうでしょうか?
【棒-31)から、左足を動かして、【棒-33)の姿勢に持って行きます。
足を揃える際に、綺麗に足が揃えば良いんですが、左足を右に動かそうとすると、腰が右に動いてしまいます。
結果的に、【棒-33)のように、両足が揃ったときには、腰は思いっきり右に移動して、ウエイトが右足の上に偏ります。
【棒-33)を横から見た図が【棒-43)です。
両足を揃えたときには、左足の踵を付けることが出来ず、左の踵が浮いたままに
なってしまいます。
(棒-44)〜【棒-45)で左足を前に出す際には、左足に「奇妙な捻れ」が掛かります。
左足の爪先が丸くなり、左足全体が外側に捻れるような感じになり、左足は斜め方向に進んでいきます。
●まとめ
今回は、飛脚と同じように、棒を担いで、動いてみました。
左手で棒を持った時には、両足にウエイトが配分されます。
そして、踵で地面を押さえ続ける動きになります。
昔の「わらじ」や、踵の無い「足半」を履いていたとしても、浮いている踵で地面を押さえながら進む感じの動きになるものと推測します。
一方、右手で棒を持った時には、片足にウエイトが集中します。
そして、カラダを前に進めるにつれ、ウエイトは「爪先」だけに集中します。
昔の「わらじ」や、踵の無い「足半」を履いたとすれば、「左足の爪先」と「右足の爪先」にウエイトを乗せながら、爪先を使って進むような格好になりそうです。
このページの最初にある、左手に棒を持った飛脚【棒-91)と、右手に棒を持った飛脚【棒-92)は、両者の違いを的確に表現しているように思います。
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最後に、補足として、変わった実験をしてみます。
「左足を右足に寄せる動き」において、変わった棒の持ち方をするとどうなるか?
という点です。
棒を90度回転させることによって、手首に外回りの回転(外旋)を掛けています。
駕籠の例のように、前腕(二の腕)を真上に持ち上げて、手首にある程度の重さを掛けると、手首と肘(肘の内側)の間の前腕に、回転(手首と肘の逆回転)が生まれます。 これが、駕籠を担ぐ際の、カラダ全体の動きに影響を与えるはずです。
実際、駕籠の例では、「左手・左肩で駕籠を担ぐケース」と「右手・右肩で駕籠を担ぐケース」が存在するようで、両者の違いは、手首の回転(手首と肘の逆回転)が大きく影響しているものと思われます。
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《 フリーアームの重要性 》
実際の飛脚の動きを考えるときには、「棒を持つ手」だけでなく、反対側の手も考慮する必要がありそうです。
なにも持っていない手(社交ダンスのラテン種目で言えば、フリーアーム)によって、動きに影響を与えるはずです。
例えば、右手で棒を持った【棒-92)の飛脚の左手。
右手で棒を持ち、左手で「重さゼログラムの見えない棒」を掴んでいるとすれば、左手によって、左右のバランスは保たれるはずです。
何も持っていない手(フリーアーム)は、無意識にバランスを取るように出来ているところが、おもしろいです。
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