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爪先から着地 ~踵を踏むとカラダが進む |
作成日:2012/10/18、最終改訂日:2012/10/29 |
§段-11:「踵着地」なのに「爪先着地」の動き
たとえ踵(ヒール)着地であっても、基本的なカラダの動きは、「爪先着地」と同じ扱いになるパターンが存在する。
なので、カラダの動きを論じないで、ただ単に、「踵着地」か「爪先着地」かだけを論じるのは、まったく意味のない話であり、大きな誤解を招く結果になるはず。
たぶん、マラソンの「フォアフット着地」なのか、「ヒール着地」なのかの違いについても、同じことが言えるような気がします。(走る動きについては、詳しく知りませんが...)
足を大きく伸ばして、爪先を限界まで遠くに伸ばして着地すれば、否応なしに「踵着地」になる。
いくら爪先着地をしたい(踵着地なんか、絶対に絶対にやりたくない!)と思っていても、、姿勢が低い位置から、前足を遠くに伸ばしてくと、否応なしに「踵」が足についてしまう。 否応になしに「踵着地」になってしまう。
こういう場合のカラダの動きは、「踵着地」の扱いではなく、「爪先着地」の動きに準じたカラダの動きとして扱うべきだと思います。
●「踵着地」を「爪先着地」に変えるには・・・・
この動き、単純に言えば、つまりは、こういうことです。
踵から着地【踵-21)しても、次の瞬間には、足の裏全体が、ピタッ!と着いてしまう【踵-22)。
しなりのあるゴムが、地面に張り付くような感じ。 地面を強く押さえない!
足首の角度を変化させずに、一定の足首の角度を保っていれば、すぐに踵が浮いて、地面から離れようとする【踵-23)。 もちろん、カラダは前足よりも遙かに後方、前足と後ろ足の中間点に位置する。
踵が浮き上がってしまえば、こっちのもの!!!
太股を後ろに引いて、踵を強く踏み込んでやればいい。
「階段の角に爪先を足を掛けて、踵を踏み込んで階段を登る」時のごとく、勢いよく左の背中が、前方へと進んでいく。
慣れてくれば、「踵が持ち上がろうとする」タイミングで、踵を踏み込むことが出来るので、外観上は
「踵から着地して、踵は上がらないように気をつけながら、カラダが足の上を通過させている」
ように見えますが、実際の動きは「爪先着地での両足爪先立ち」と同じになります。
この動きを利用したのが、下の図。
「低い姿勢」から、右足の爪先を遠くに伸ばしていけば、「踵」が邪魔になります。
というか、どうしても、「踵からの着地」になってしまいます。 【踵-31)
そこで、踵が着地したら(踵が着地する直前から)、右足(前足)の力を抜いて、足の裏全体で地面につけます【踵-32)。 膝は少し曲がる(緩む)ハズです。
出来るだけ体重を前足に移さずに、後ろ足の上に体重を置いておくところがポイント。
【踵-32)の、わずかに爪先が浮き上がるタイミングをみて、踵を踏み込んでやれば、左の背中が前に出て、気持ちよくカラダ全体が、前方へと進んで行きます【踵-33)。
ダンスメモ |
この動きは、社交ダンスでいえば、「スローフォックストロット」の「フェザー・ステップの1歩目」の右足に該当します。
フェザーステップのフェザーは「羽」でしょうか? 「羽のようなステップ」??
なんで、こんな名前がついているのかわかりません。
実際、この動きをやってみると、、早いタイミングで踵を「ふわ〜ぁ」と持ち上げて、そこから踵を踏み込むんでやると、左の背中が前に出るので、カラダ全体が「ふわ〜ぁ」と持ち上がりながら、前に進んでいく。。。。そんな動きになります。
これが「フェザーなのか?」と言われると、「わかりません」としか言えませんが・・・
ワルツの「ナチュラル・ターン」の1歩目右足も、同じようなフットワークをさせることが出来ます。
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●日本人の常識? 「踵着地」で「踵を踏み込め!」と言う考え方
ところで、日本のスポーツ界では、いろんなことが言われています。
<font color="#0000ff">
・踵を、しっかりと踏み込んで前に進め!
・早いタイミングで、踵を地面から離してはいけない。
・足の裏全体で地面を踏め!
・足の裏の体重移動を、踵から爪先へと、しっかりと移動させろ。</font>
そして、言われるのはこれ!
<font color="#0000ff">
昔の日本人は、和式便器を使っていた。
和式便器というか、いわゆる「うんこ座り」では、踵を使って座る。
ところが、最近の日本人は、洋式便器を使う人が多くなった。
洋式便器では、踵は使わない。
結果として、最近の日本人は、「踵(かかと)を使う」ことが出来なくなった。
スポーツをやっても、踵がすぐに浮いてしまう。</font>
こういうのって、どうなんでしょうか?
いろんな考え方があると思いますが、当「みらくるダンス実験室」なりに、検証してみましょう。
「日本人の常識」として言われているのは、こんな感じだろうと思います。
【踵-61)のように、踵から着地し、体重を踵から拇指球、爪先へと移していく。
このとき、「土踏まず」のアーチをつぶさないように、気をつける必要がある。
踵から足の外側(アウトサイド)に体重を移動させて、小指球を経由して、拇指球から、親指の爪先へ体重を移していく。
踵から着地した後は、膝を前に倒して、太股を前に出して、足の裏全体で地面を押さえる・・・・というか、地面を踏みしめる。【踵-62)。
しっかりと、カラダを足の上に乗せる。 そうすることで、カラダが安定する。
早いタイミングで、踵を持ち上げると、カラダが不安定になる【踵-63)
膝を前に倒して、太股を前に押し出しながら、踵を持ち上がると、「爪先歩き」になってしまう。 これ最悪!
そうならないためには、
「足の上に体重を乗せて、しっかり踵を地面につけておく!!」
これが、重要になってくる【踵-67)。
足首を深く曲げて、重心を低くする。
腰・骨盤を、押し下げて、「腰で踵を押さえこむ」ようににする。
あるいは、腰で地面を押さえる感覚。 こうすれば、踵は浮かない。
実際に、やってみると、こんな感じになります。
右膝を前に倒していき、右の太股を前に押し出していけば、右の骨盤が前に出ていきます。それと同時に、腰がグイグイと前に進んでいきます。
後ろ足(左足)が、前に飛び出さないように粘っていると、最後はカラダ全体が左に傾いていきます。 着地時点では、姿勢が崩れます。【踵-74)
そこで、「踵が浮かないように地面を押さえるための工夫」が必要になってきます。
右の腰に右手をあてて、踵着地させて、そこから、右足の踵を踏み込んでみましょう。
上の図の【踵-62)【踵-72)のタイミングが、【踵-82)に対応します。
右腰に手をあてて、無意識にカラダを前に進めようとすると、体重が「爪先」に移った時点で、右腰が勢いよく前に飛び出ててしまいます【踵-83)。 これは最悪です。
では、どうすればいいか?
右腰を後ろに引いて、右の腰(およびに右の骨盤)に重みを掛けて、「腰で踵を押さえ込む」ようにします。 足首を深く曲げます。【踵-84)
そうすると、重心が低くなり、踵が上がらないように「踵で地面を踏み続ける」ことが出来ます。
このとき、無意識に「左肩・左肩甲骨」が後ろに下がろうとします。
ここで、一つ注意事項。
腰で踵を押さえこむと、右足の膝は伸びます。 右足では前に進めません。
そこで、左の太股を、「斜め上」に向かって蹴り上げます。
それと同時に、左腕を前に突き出します。
そうすれば、カラダを前に進めることが出来ます。
カイナを返す(肘を張るようにして、親指を下にして、腕を前に出していく)ことと、腰を後ろに引きながら重心を落とすことで、踵を浮かさないようにして、前進することが可能になるようです。
「日本人の常識」ともいえる、「踵をしっかりと踏み込め!」「踵から着地して、足の裏の体重移動をしましょう!」というのは、このあたりから、きているように思います。
どう考えても、「爪先着地の応用」とは違いますよね!!
じゃぁ、社交ダンスはどっちなんだ??? と、問いかけたくなります。
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《 外見だけに囚われてはいけない! 》
社交ダンスを習うときに、「踵着地」なのか「爪先着地」なのか、そのあたりを厳しく指導されます。
仮に、「社交ダンス」というものをを理解出来ているかどうかを検査する「テスト」があったとしたら、どういう基準で合否を決めるでしょうか?
どういうカラダの使い方であれ、踵から着地している人は、全員「合格」でしょう。
爪先から着地していれば「不合格」になるでしょうけど、それ以外は全員合格。
カラダの使い方なんて、外見だけでは判断できませんから、試験をやれば、そういう判定基準になるはずです。
じゃぁ、それが「正しい」のか? といえば、どうでしょうか?
同じ「爪先着地」でも、カラダの動きは全然違う....と言うところが、ポイントです。
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