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爪先から着地 ~踵を踏むとカラダが進む |
作成日:2012/10/17、最終改訂日:2012/10/29 |
§段-10:「爪先立ち」からの前進〜右足編〜
前回は「左足編」でしたので、今回は「右足編」
「階段の角に爪先をつけて、踵を強く踏みつけて、階段を登る時」
の動きを、
「平坦な場所で、両足ともに爪先で立ち、前足の踵(ヒール)を踏みつけて、カラダを前に進める時」
の動きに応用すると、どうなるか?
左足と右足では動きが違うので、当然、右足の踵を踏みつける時は、左足とは違ってくるはずである。 実験してみましょう。
ちなみに、「右足で踵を踏む」ときの動きは、左足よりも複雑になってきます。
●「右足が前、左足が後ろ」からの前進 〜おへそを右斜めに向けた時
肩を正面に向け、視線を若干「左前方」に向けて、両足ともに「爪先立ち」で「大きく足を開いて」立つ。 このとき、おへそを出来る限り「右側」に向ける。
右足の爪先は、出来るだけ「前方」に伸ばす。
右の骨盤は「出来るだけ後ろ」に引いておく。
一見、不自然な姿勢のように感じるかもしれませんが、すごく自然な姿勢なことがわかる。 なぜなら、この立ち方では、「腰は、捻れ(ねじれ)ない」というのが理由。
肩・骨盤・足の角度のズレは、「左肩甲骨の下」(胸椎7番)と「右の股関節」が吸収している。 そのため、腰は、まったくと言っていいほど、捻れ(ねじれ)ていない。
試しに、腰にベニア板でも当ててみるといい。 ベニア板が、ぴったし腰に当たる。
では、この姿勢からの前進。
「太股を引く」場合と「太股を出す」場合で、どれっくらい動きが違うのか、検証する。
まず、右足の爪先を遠くに伸ばして、両足爪先立ちで立つ(爪-61)
腰は全く「捻れ(ねじれ)ていない」ことを確認する。
右骨盤を、出来るだけ後ろに引いて、おへそを出来るだけ右に向ける。
右骨盤を後ろに引けば、左の腕は自然に持ち上がる。 左の肩は下がる。
おへそを「右」に向けようとすればするほど、肩は正面もしくは、若干「左」を向く。
ここから、「階段の角に爪先をつけるよう」にして、踵を強く踏み込む(爪-62)
右太股が後ろに下がり、左の太股が強く内旋する。
左の背中が前に出る。
左の骨盤は後ろに下がろうとするが、左の骨盤は斜め前にあるので、後ろには下がらない。 結果的に、骨盤が動かない形で、静かにカラダが前に進んでいく。
さらに踵を踏み込んでいくと、左の背中が前に出る(爪-63)
左の骨盤が後ろに下がろうとするけど、位置的に後ろには下がらない。
そのかわりに、左の骨盤が低くなり、右の骨盤が高くなる。
結果的に左肩が下がって、カラダ全体に傾き(スウェイ)が生ずる。
左の太股に強い内旋を掛けてやると、左足が前に出てくる(爪-64)
左膝・左ふくらはぎ・左足首を内旋させてはいけない。 左太股だけを内旋させる。
この動きを、裸足(つまり踵のない靴)でやると、「なかなか、踵が地面に着かないぞ! 踵を地面につけたいのに、地面はまだ遠いのか!」という感覚を実感する。
そして、
「踵の高い靴が欲しい!踵のある靴があれば、もっと楽に動けるのに!」
と感じることになる。
マラソンと同じように「両足を浮かせても良い」のであれば、早いタイミングで左足を地面から浮かせて、左太股を出来るだけカラダの後ろに持って行くさえすれば、素足でも、右足の踵を踏み込めるはず。
「両足を浮かせてはいけない」というルールでは、高い踵の靴が欲しくなる。
こっちは、太股を前に出す場合。
スタート時点では、右足を前に出して、右骨盤はめいっぱい後ろに引いている(爪-71) 腰は捻れ(ねじれ)ていない。
ここから、右足の膝を前に倒して、太股を前に出していく(爪-72)
右の太股を前に出すと、右の骨盤が勢いよく前に飛び出していく。
スタート時点の姿勢が完全に「リセット」される。
(爪-71)から(爪-72)に進む際に、骨盤全体が、「激しく」強い力で左に回転する。
この途中に、骨盤が正面を向いている「瞬間」がある。
骨盤・へそ・肩・頭(顔)、すべてが正面を向いている「瞬間」で、腰はどうなっているか?を確認する。 すべて正面を向いていても、腰は捻れ(ねじれ)ている。
ここから、踵を降ろすと、骨盤は「激しく」右に回転する(爪-74) この骨盤の回転、とうより「左骨盤が勢いよく前に飛び出す」力によって、腰が勢いよく前に出る。
それと同時に別の動きも発生する。
踵を降ろすことによって、足首・踵は「後ろ」に動く。それに負けないように(バランスを取ろうとして)、膝を前に倒して、太股を前に前に出していこうという動き。結果的にカラダ全体が、「前方に向かって突っ込んでいく」形になる。
カラダ全体に勢いをつけて、前方に突っ込んでいくことにより、左足を大きく出すことができる(爪-75)
●「右足が前、左足が後ろ」からの前進 〜おへそを左斜めに向けた時
たまに、
「大きな歩幅で歩く時に、右足を前に出すときには、右骨盤・右腰も前に出した方が、大きな歩幅を稼ぐことが出来る」・・・というようなことが書かれた「技術本」を見かけることがあるが、「爪先立ちからの前進」においては、そうとも限らない。
動きを見てみましょう。
まず、顔を正面に向け、「おへそを左斜め前」に向けると、右骨盤が前、左骨盤が後ろになる(爪-81)。
そこから、前足(右足)の踵を踏み込もうとすると、両足の太股が後ろに下がろうとする。(爪-82)
このとき、左骨盤(骨盤の左側)は後ろへ下がろうとし、右骨盤(骨盤の右側)は前に出ようとする。
骨盤は1つ(一体のもの)なので、実際には骨盤全体が「左回転」しているだけなのですが、左右の太股に外旋・内旋が掛かっているため、
「左骨盤が右骨盤の後ろに潜り込む」
ような感覚になる。
右骨盤が前に出ていくので、右足の踵を踏み込もうとして、なかなか踵が地面に着きません。 (高いヒールのある靴ならば、この時点で、踵が地面に着きます。)
さらに、右足の踵を踏み込もうとしたのが(爪-84)になります。
「左骨盤が後ろに潜り込んで、右骨盤をグイグイ前に押し出す」
感じになります。
それと同時に、右足の踵を踏み込むことで、左の背中が前に出てきます。
この2つの力によって、カラダ全体が前方に進んで行きます。
ここで、着目すべきなのは、「両足の太股が後ろに下げているため、腰は前に出てこない」ということです。 腰を前に出してカラダを前に進める動きとは、根本的に異なります。
「左骨盤が右骨盤を押し出す力」と、「左の背中が前に出る力」は、かなり強力にカラダ全体を前に押し出します。
これによって、自然に左足は前に出て来ますが、左足の太股に強く「内旋」をかけてやれば、もっと綺麗に左足を出すことができます。
左の膝を前に倒して、太股を前方に押し出していく動きの原理は、単純明快です。
誰にでも理解出来るので、「難しいことを考えるのは嫌だ!直感的に動くのがいい」という人たちには、こちらのほうが、素直に受け入れることができます。
左の膝を前に倒して、太股を前に押し出すと、太股に引っ張られて右の骨盤が前に出てきます(爪-92)。 カラダが倒れまいとして左足で地面を押さえるので、骨盤は大きく左に回転します。「カラダ全体が左に回転する」と言った方がいいかもしれません。
ここから右足の踵を降ろすと踵は後ろに下がります。足首も後ろに下がります。
踵や足首と一緒に、右の骨盤が後ろに下がります(爪-94)。
このとき、腰は、勢いよく、前に飛び出していきます。
腰が前に進めば、無意識に左足が前に出てきます。
左足は「ドスン!」という感じの着地になります(爪-95)。
骨盤は右回転、肩は左回転になって、カラダがねじれた状態になります。
●まとめ
前回に引き続き、「両足ともに爪先立ち」から、踵を降ろしながら、カラダを前に進めていく方法を検証しています。 ちなみに、この実験は、すべて「裸足」で行ってます。
「右足を前、左足を後ろ」にて立った場合、
「太股を後ろに引く」か、「太股を前に出す」かによって、骨盤の動き全然違ってきます。まったく逆になります。
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《 社交ダンスをやらないスポーツ選手は・・・ 》
当然、「社交ダンスを知らない人」でも、実験をすることが出来ます。 「難しい実験」ではありません。
、「社交ダンスのフィガー(足形、ステップ)」の一つとして捉えた場合、へんな先入観が入って、「なんだか、死ぬほど、むずかしそうだぞ!」ということになってしまいます。
社交ダンスを知らないスポーツ選手が、この動きをした場合は、いったい、どちらの動きをするだろうか?
そういうのを考えていくと、面白いと思います。
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